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2023年度
科目名 地域開発システム論特殊講義 科目コード 8024 単位数 2
担当者名 阿部 秀明 開講時期 1後 開講年次 1年次
授業の到達目標及びテーマ
本授業の到達目標は、地域が主体となる地域資源の有効活用と個性ある地域づくりの方策、地域経済のレジリエンスを志向する持続的発展に向けた地域振興・産業振興のあり方、そして地域発展に向けた計画立案に関して深い見識を備えることである。なお、テーマは「地域経済の強靭化と地域固有性について」である。
授業の概要
一国の盛衰を展望するには超長期的な視点を要するが、地域経済レベルでは、成長、衰退、再生が顕著に現れる。特に近年の潮流として「地域経済の強靭化(レジリエンス)」を志向することは、地域の持続可能性に貢献する点で極めて重要である。本講義では、地域のおかれた空間・時間の特殊性や地域発展の循環的な局面を考慮しながら、地域の持続的な発展を構想し、地域の競争力を高める戦略について議論を深める。さらに、地域が主体となる地域資源の有効活用と個性ある地域づくりの方策、持続的発展に向けた強靭な経済・産業構造の構築に向け検討を加える。こうして修得した知識および技能を基に、自ら課題を発見し解決する能力を身につける。
授業計画
1週目 ガイダンス:地域開発システム論の研究領域
2週目 地域(国土)開発政策の史的展開過程について、主に戦後の地域開発政策(全国総合開発計画)を中心に概観する。
3週目  国土形成計画について、「国土の均衡ある発展」から「地域の個性ある発展」への政策転換の背景を中心に検討する。
4週目 地域格差是正と地域の産業について、主に社会基盤整備の役割(都市・農村の基盤整備)を中心に検討する。
5週目 地域振興と社会資本整備に関して、産業基盤整備の役割と費用対効果を中心に検討する。
6週目 地域振興と環境保全との関連について、地域主義と内発型発展(持続的地域発展とは)を視野に入れて検討を加える。
7週目 地域の自立と社会資本整備の役割に関して、主に地域振興の主体、手法、制度、地域づくりを中心に検討する。
8週目 経済社会の新たな潮流と地域発展の課題と展望について検討する。
9週目 安全な国土の形成(地域防災、リダンダンシー交通インフラ、広域的地域づくり)に関して検討を加える。
10週目 モビリティの高度化と広域的対応について、北海道を例にとり、高速道路網の整備と地域連携に関して検討を加える。
11週目 経済成長と地域振興(大規模工業基地開発の教訓、地域の盛衰、都市・農村の空間整備、観光振興)に関して検討する。
12週目 地域開発における都市・農村の生活環境整備のあり方について、実証分析の結果を参考にしながら検討する。
13週目 地域発展に向けた民間活力の導入について、主に、第三セクターの教訓やPFIの導入例等、実証例を中心に検討を加える。
14週目 経済のグローバル化と地域発展(水平的貿易、北東アジア地域連携FTA・EPA)の可能性について検討を加える。
15週目 持続的発展に向けた地域発展・産業振興(循環型・環境共生型の地域戦略)に関する戦略について検討を加える。
16週目 地域開発の今後の在り方と地域創生に向けた具体的な取組について、各自が取り纏めたレポートを基に報告会を実施する。なお、報告会の報告に基づき、講評・解説も併せて実施します。
テキスト
阿部秀明・他著『地域経済強靭化に向けた課題と戦略』「共同文化社」,2018年、地域経済の進化と多様性』阿部秀明編著,泉文堂,2013年。
参考書・参考資料等
『これからの都市・地域政策―「実験型都市」が未来を創る―』小林潔司・朝倉康夫・山崎朗編著、中央経済社、2005年。『新時代の観光』総合観光学会編、同文館出版、2007年。その他ガイダンスの際に提示。
成績評価の方法・基準
2回ほどのレポート提出と小テストおよび、学期末試験により総合的に評価する。