シラバス詳細
シラバス(詳細)
2025年度 |
科目名 | 公共経済論 | 科目コード | 1410 | 単位数 | 2 |
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担当者名 | 阿部 秀明 | 開講セメスター | 第6セメスター | 開講年次 | 3年次 |
授業の方法 | 講義 | 到達目標 | B,F | 実務経験 | 無 |
ナンバリング | DEc611 | ※DP(ディプロマポリシー)と到達目標の関連性については、カリキュラムマップ(商学科・観光産業学科)参照 |
- 授業のねらい
- 今日、市場経済はグローバル化する中で、その普遍性を獲得してきたが、他方で外部不経済などの環境問題や所得分配の不平等といった「市場の失敗」も引き起こしている。特に急速な人口高齢化の進行、それらに伴う経済構造やマクロバランスの変化など、内外の環境変化に対応した公共部門の役割や財政規律が求められている。本講義では、このような公共部門の機能や制度設計、さらに市場の失敗の原因・処方箋など、公共部門のあり方と、そのための具体的な方策を提示するとともに、諸課題を解決する道筋を自ら発見し解決することを狙いとする。
- 到達目標
- 本講義は、多くの先進資本主義国で公的部門の比重が高まっている点を踏まえ、市場経済と公共部門がどの様な関わりを持ち、如何なる役割や機能を有しているかを理解するとともに、実際の公共政策に対する問題点や具体的な政策課題の解決策に関し、理論的、実証的視点を身に付けることが目標である。
- 授業内容
- 1週目 公共経済学の研究領域と政府の経済活動(非市場型経済活動と公共部門の相互依存関係、政府の経済活動分野や市場経済における公共部門の役割)
2週目 公共部門の3機能(資源配分機能、所得再分配機能、経済安定化機能)と役割について
3週目 公共部門の役割と特徴(混合経済の基での公共部門の比重と役割、租税収入・公債発行の比重、諸外国との比較検討)
4週目 公共システムと財政制度(公共部門の制度の概説と予算の枠組・予算の構造、直接税と間接税、一般税と個別税等の税の検討)
5週目 厚生経済学の基本定理(市場の失敗、公共財の性質、公共財の最適供給、ナッシュ均衡とリンダール解)
6週目 公共財の理論的分析(厚生経済学の視点から私的財・公共財を整序、資源配分機能から見た公共財の供給プロセス)
7週目 公共支出の経済効率(費用便益分析の概観、公共投資に関わる効率性の検討)
8週目 租税の効果と租税の経済的厚生(個々の経済主体の意思決定に対して課税効果を実証分析、課税の経済厚生に与える影響を規範的に検討)
9週目 租税の資源配分効果(租税が資源配分に与える撹乱について一般均衡分析により検討。さらに租税負担と最適配分について)
10週目 資源配分の効率性と公平性(代表的租税の負担配分の理論的整序、公平性の要件について検討)
11週目 資本所得税の効果と資本利得課税(利子所得に対する課税の効果を労働所得税と対比し検討。また、キャピタルゲインの妥当性の検討と導入の可能性)
12週目 財政支出の調達と総需要の観点からマクロ経済活動に対する短期的乗数効果の検討。
13週目 資源蓄積による負担の転嫁、次世代への負担の転嫁について検討
14週目 経済成長戦略と財政規律(中長期の財政運営の方向性、均衡財政、公債管理政策)
15週目 日本の公共部門の課題と展望(財政赤字、公共投資と財政投融資・PFI、地方分権と公的企業改革)+試験の実施
16週目 上記の試験内容の主なポイントについて講評し、フィードバックを含め重要な箇所について解説を行う。但し、やむを得ず、15週目までの授業内容を実施できなかった場合は、補講授業を行います。 - 準備学修(予習・復習)の具体的な内容及びそれに必要な時間
- ・予習:各回の講義で提示される教材・課題に取り組む。(60分程度)
・復習:各回の講義で学んだ内容と演習課題を再確認する。(60分程度)
加えて、①日頃から新聞などで社会の動向を広く把握するよう努めることが望ましい。②公共経済論の基礎となるミクロ分析,マクロ分析を一通り理解しておくことが望ましい。ミクロ、マクロ経済学の基礎や専門基礎科目(必修科目)である経済システム理論のテキスト、講義ノートを読み返すことで一層理解が深まる。
③LMS等に公開する各回の学習内容にあわせた講義資料を随時チェックし、内容をしっかり確認・理解すること。特に、講義の進度にあわせて予習・復習することは、授業内容の理解が一層深まるので、積極的にLMSを活用してください。 - 成績評価の方法・基準
- ・成績評価は出席率70%以上の履修者を対象とします。それを下回る場合は、成績評価の対象外とします。
・毎回、課題の提出を求めます。さらに、1回程度の小テストも実施する予定。課題点と小テスト40%、試験60%として総合的に評価する。なお、毎回の課題や小テストの解答などの講評・解説も行います。 - 履修上の留意点
- ・私語や遅刻等で注意を受け、改善の兆しがない者は不合格となることがあります。
・予習・復習等の学習のため、LMS内から資料をダウンロードして利用してください。 - 課題に対するフィードバックの方法
- 講義内で実施する確認問題の講評に加え、小テスト等の返却時に主にポイントとなる課題に対するフィードバックを含め講評・解説を併せて実施します。
- テキスト
- 授業開始時に指示するが、随時自作の資料を配付します。また、LMSシステム内に配布資料に加え、講義で使用するPowerPointの資料等の教材(PDFファイル)を必要に応じダウンロードしてください。
- 参考書
- 授業開始時に指示します。例えば、阿部秀明・他著(2023)『食料基地北海道を支える物流ネットワークの課題と強靭化に向けた課題』(共同文化社)1,980円、上村敏之(2013)『コンパクト財政学_第2班』(新世社)1,925円、などがあります。