商学部 観光産業学科の紹介

観光学科ではなく観光産業学科

私たちの学科名は観光産業学科といいます。敢えて『観光』だけでなく『産業』という文字が入れられています。これは、多くの大学において観光学科と名乗っている中身が『観光業学科』であることとの違いを表しています。『観光産業学科』と『観光業学科』との見た目の違いは『産』の一文字が有るか無いかだけです。しかし、そこには大きな考え方の違いが込められています。その考え方の説明には、まず観光というものに今一度振り返ってみる必要があります。
一般に観光という言葉は、私たちの観光産業学科が考えている観光よりもずいぶん狭い範囲を思い起こさせます。つまり、見物、見学、あるいは物見遊山という遠くへ行って珍しいものを見て遊ぶという程度の意味にとらえられがちです。しかし、私たちの観光産業学科では、観光という用語に旅をして珍しいものを見るだけではない、より広い意味を込めています。

商学部の中の観光産業学科

人々が地域間を行き交うことは、地域間に経済的そして社会的に大きな効果を及ぼすことが知られています。私たちの観光には、そうしたさまざまな経済的効果、社会的効果をもたらす人々の移動の活動現象すべてを含んでいるのです。そこには、旅行業が関連する見学・見物の旅行はもちろんのこと、ビジネスと遊びを兼ねたいわゆる兼観光、そしてコンベンションをはじめとする近年MICE*と言われるビジネス活動まで含んでいます。
そうした広い活動をサポートするのは、従来の縦割りの観光業だけではなく、活動に関連する横断的で広い範囲のすべての産業となります。それを私たちは観光産業と呼びます。それを学び理解するためには、ビジネスに対する広い知識と理解が必要です。私達の『観光産業学科』が商学部の中にある意義がそこにあります。

( *MICE : Meeting + Incentive + Convention/Conference + Event/Exhibition )

人との出会い、環境との出会い

そして、さまざまな効果が有効になるには、行き交うことに伴って起きる人々の感動の裏打ちがある場合です。もう少し別の言い方をすると、人々が移動して出会うことによって情報が集まり、増幅されるということです。そうすることによって、人々の往来がさらに盛んになっていきます。そのために私達は、本学の特長でもある外国語教育を通じてコミュニケーション能力を高めることを目指しています。
私たちの『観光産業学科』にはもうひとつ特長があります。それは、環境を重視するという視点です。広い意味でも狭い意味でも観光は、ある場所で人々の活動が展開することです。現在観光の分野だけでなく、多くの分野で持続可能な物理的環境との付き合い方が議論され実践されています。そうした中でも、観光こそ持続可能であるためには環境を重視しなければならないと私達は考えるのです。

新たな『観光』の言葉を探して

こうして私たちの観光産業学科をみてくると、従来の観光という言葉には納まらない広がりを持っていることに気付くと思います。観光という言葉は、中国の古い書物「易経」の中の言葉から由来するといわれています。つまり、日本語にすると「国の光を観る」という言葉です。しかし、これでは狭い意味の観光にしかすぎません。ところが、この逸話にはまだ続きが有るのです。訪れた人は、国の威光を観て感激し、その国の王に仕えたというのです。つまり、その人は珍しがるだけでなく、感動し、交流をし、そこで王に仕えて仕事をするのでした。これは、私たちの観光に近いお話です。
今まで使われてきた観光という言葉は、とても窮屈に思えます。私たちの『観光産業学科』で学んで、『観光』という言葉に代わる新しい言葉を私たちとともに探しましょう。