商学部 商学科の紹介

商学への旅

「商」とは、「商い」あるいは「商いをする人」を意味しますが、商学における「商」には、広義と狭義の定義があります。広義には商品やサービスの取引一般について、また狭義には商品やサービスの個別の販売・流通について研究する学問です。
私たちの周りを見渡してください。現代の消費社会において、私たちは多くの商品やサービスの提供を受け豊かな暮らしを営んでおります。これらの商品やサービスは、生産するメーカーから直接届くのではなく、卸業者、仲卸業者、小売店などさまざまな流通経路を経て私たち消費者の元に届きます。
例えば、小売店も百貨店、スーパーマーケットなどの大規模小売店舗、電化製品やスポーツ用品などの専門量販店、地元商店街のような中小零細小売店とさまざまで、扱う商品も生鮮食料品から衣料品、家電製品など多様です。このような市場活動を効率的につかさどるには、陸運・海運・空運や、それにともなう倉庫業、不測の事態に対応するための保険、商業手形や証券などの金融などの機能が必要ですし、また外国と取引を行なうにあたっては貿易、取引によりもたらされる富や損益を管理するには簿記や会計の知識が必要です。このような科目をトータルで身につけ、実践で役に立つように学べるのが商学科の特徴です。

インターネットの時代の商取引

21世紀になってからIT(情報技術)革命が注目されはじめました。それは従来の市場秩序を創造的に破壊し、インターネットを基盤としたグローバルな市場 秩序、すなわちデジタル・マーケットを確立しつつあるからです。IT革命は産業革命に匹敵するものになると予想されています。その理由の一つは、IT革命 が短期間かつ地球規模で進行したため、私たちのライフスタイルに大きな変動を生むと見なされているからです。
ところで、皆さんにとってはちょっと難しい話題かもしれませんが、「インターネットは流通の中抜きだ」という意見があります。確かに表層的に見れば、生産 者と消費者がダイレクトにつながるワン・トゥ・ワン・ マーケティング等の顧客重視の経営をめざすシステムが成立しています。このことはインターネットの発達によって、特定企業だけが対象の相対取引から、不特 定多数の売り手と買い手が自在に結びつく「電子市場」の取引に変ってきていることを意味しています。
このような変革の時代では、私たちは売り手の技術力や販売力が問われ、日本的系列化や旧来の非効率な商慣習が淘汰されます。インターネットは競争力を高め るが、中間業者には両刃の剣ともなります。なぜなら、インターネットは「距離」という概念をなくし、「情報」が「モノ」から分離され、従来の事業構造や企 業と消費者の関係を変化させつつあるからです。
私たちの商学科で商取引の基礎を学び、インターネットの「大海原」に漕ぎ出し、目的地にたどり着く航海術(ソフト)を身につけませんか。

商いの教育を通じて企業家を育成

商学科を希望する人に目指してもらいたいのは企業家です。なぜならば、資本主義を現実に動かしているのは企業家だからです。企業家とは、経済学の前提と なっている単に合理的な経済人(ホモ・エコノミクス)を意味するのではなく、あくまでもイノベーションを遂行する経済主体としての企業家です。すなわち超 人的とも呼びうる非日常的性格を有し、その意味では非凡な卓越性を有し、従来のやり方に対して批判の眼を向け、それらを創造的に破壊していく実践者という ことです。将来、私たちの商学科からベンチャー企業の経営者が生まれることも夢ではないのです。
私たちの商学科では、このような商いの教育を通じて経済社会の要請に応えるべく、新しい時代を担うことのできる企業家の育成を目指しています。

地域に根を下ろして地球に眼を開く

これからは、Thinking Globally, Acting Locallyの時代です。人びとがデジタルインフラを介して、外国との取引を自由に交わし、かつてない繁栄を「共有」しあうことになります。インター ネットの進展に伴うグローバル化の時代では、人びとは同じ基盤を共有し、相互編集をしているのですから、自分が必要と思うものは必ず他人も必要と思ってい るのです。
一方、個性と多様化に満ちた地域商業を再生させるために、これからは地方の流通やマーケティングを学び、私たちが住む地域の発展に寄与しなければなりませ ん。型にはまった旧来の商業教育ではなく、グローバル化の時代にふさわしい新たな展望を与えるような教育が大切であろうと思います。
私たちの商学科では一つの試みとしてアジアに軸足を置き、アジアの発展を追求できる「国際人」を養成するため、魅力的なカリキュラムを開講しております。